アキレス腱炎と腱症の違い|3か月以上続くなら

結論

3か月以上続くアキレス腱の痛みは、炎症ではなく「アキレス腱症」の段階に入っている可能性があります。

炎症なら冷やす・休むが有効ですが、腱症では腱そのものの質が変わっているため、同じ対応では変わりません。

「休んでも走ると戻る」を繰り返している方は、この記事が当てはまるかもしれません。

アキレス腱が痛くて、もう何か月も経っている。休むと軽くなるが、走ると戻る。湿布も安静も試した。

その状態は、最初の「炎症」とは別の段階に入っているかもしれません。アキレス腱症という言葉をご存じでしょうか。

腱炎と腱症は、何が違うのか

どちらも「アキレス腱が痛い」状態ですが、腱の中で起きていることが違います。

アキレス腱炎アキレス腱症
時期 痛み出して数日〜数週間 3か月以上続いている
腱の状態 炎症が起きている 腱そのものの質が変わっている(変性)
熱感・腫れ あることが多い ほとんどない
腱の太さ 変化は少ない 太くなる、しこりに触れることがある
安静の効果 休むと落ち着く 休んでも、再開すると戻る
冷やす 有効なことが多い あまり意味がない

POINT

「腱炎」という呼び方が一般的ですが、長く続いている状態は炎症が主体ではありません。国際的には、この段階を含めて「アキレス腱症(Achilles tendinopathy)」と呼ぶようになっています。

なぜ「休むだけ」では変わらないのか

炎症であれば、原因となる刺激を止めれば落ち着きます。だから休むことに意味がある。

ただ、腱症は腱のコラーゲン繊維の並び方そのものが乱れた状態です。休んでも、乱れた構造が自然に整うとは限りません。

だから、こういう経過をたどります。

  1. 痛いので休む。動かさないので痛みは落ち着く
  2. 「治った」と思って再開する
  3. 数日から数週間で、また同じ場所が痛む
  4. また休む。また落ち着く。また戻る

この繰り返しに心当たりがある方は、腱症の段階に入っている可能性があります。

自分で確かめる方法

診断は医師が行うものですが、目安として確かめられることがあります。

1|反対側と太さを比べる
  1. 椅子に座り、両足のアキレス腱を親指と人差し指でつまみます
  2. かかとの骨から2〜6cm上のあたり
  3. 左右で太さを比べます

痛むほうが明らかに太い、あるいは紡錘形にふくらんでいる感じがあれば、腱症の可能性があります。

2|しこりに触れるか

つまんだときに、硬い塊のようなものに触れることがあります。周りの組織と質感が違う部分です。

3|期間を振り返る

最初に痛み出してから、どのくらい経っているか。3か月が一つの目安とされています。

4|熱感があるかどうか

両手で左右のアキレス腱に触れて、温度差を感じるか。腱症では、熱感はほとんどありません。

※これらは目安であり、診断ではありません。判断に迷う場合は医療機関にご相談ください。

アプローチが変わります

腱症の段階では、対応の考え方が変わります。

炎症の時期腱症の時期
基本方針 刺激を減らす 適切な負荷をかける
冷やす 有効 あまり意味がない
完全安静 有効 長すぎると逆効果
運動 控える 段階的に取り入れる

POINT

ここが、多くの方がつまずく点です。「痛いから休む」という対応が、腱症の段階では必ずしも正解にならない。ただし、自己判断で負荷をかけるのは危険です。まず医療機関で状態を確認してください。

エキセントリック運動について

腱症に対して、国際的に推奨されている運動があります。エキセントリック運動(伸張性収縮運動)です。

筋肉が伸びながら力を出す動きを使い、腱に段階的な負荷をかけていく方法です。かかと上げの下ろす動作を使います。

自己判断で始めないでください
  • 炎症が強い時期に行うと悪化することがある
  • 回数と負荷の設定を誤ると逆効果になる
  • 腱症でない場合、別の対応が必要

この運動は、状態を確認したうえで、負荷の設定を含めて指導を受けて行うものです。ネットの情報だけで始めるのは避けてください。

3か月以上続いているなら、まず受診を
整形外科で確認できること
  • エコーやMRIで腱の状態(太さ、変性の程度)
  • 部分断裂がないか
  • かかとの骨に異常がないか
  • 滑液包の炎症かどうか

長期化している痛みは、腱症以外の原因が隠れていることもあります。画像で確認できるのは医療機関だけです。

すぐに受診すべきサイン
  • ふくらはぎの後ろで「ブチッ」という音や衝撃を感じた
  • つま先立ちがまったくできない
  • かかと周辺が大きく腫れた、内出血が広がっている
  • アキレス腱に触れると、へこんでいる部分がある

アキレス腱断裂が疑われます。長く続いた腱症は、断裂のリスクが高まるとされています。

よくある質問

腱炎と腱症、どちらの診断名が付きますか?

医療機関によって呼び方が異なります。「アキレス腱炎」「アキレス腱周囲炎」「アキレス腱症」など。長期化している場合、実態としては腱症の状態であることが多いとされています。診断名より、腱の状態がどうなっているかを聞いてみてください。

湿布は効きますか?

炎症が主体の時期には、痛みが和らぐことがあります。腱症の段階では、炎症が主ではないため、効果を感じにくいことが多い。ただ、湿布で楽になるなら使って構いません。

腱が太くなったら、元に戻りますか?

太くなった腱が完全に元の太さに戻るかどうかは、状態によります。ただ、太さと痛みは必ずしも一致しません。太いままでも痛みが落ち着く方はいます。

どのくらいで変わりますか?

腱は血流が少ない組織のため、時間がかかります。数週間で変わるものではありません。ただ、経過には個人差が大きく、断定してお伝えできる性質のものではありません。

走り続けても大丈夫ですか?

負荷の設定によります。完全に止めることが正解とは限りませんが、痛みが出るほどの負荷を続けるのは避けてください。走った翌日に痛みが増すなら、量が多すぎます。

当院での進め方

かふう西台整骨院では、まず痛み出してからの期間と、腱の太さの左右差を確認します。数週間なのか、数か月なのか。ここで見立てが変わるからです。

3か月以上続いている方、あるいは画像検査を受けたことがない方には、まず整形外科の受診をおすすめしています。当院は診断ができません。腱の状態を画像で確認できるのは医療機関だけです。

診断がついた後のケアは当院で承っています。施術は鍼灸で行い、手技は使いません。アキレス腱そのものには鍼を刺しません。離れた場所のツボを使い、押して痛い場所の変化をご自身で確かめていただきながら進めます。

あわせて、ふくらはぎの硬さ、足首の動き、足のアーチを確認します。腱に負担を集めている要素は、腱そのものではないからです。

院長は「腕と足の鍼灸治療協会」の会員として、アキレス腱の症状に対する鍼灸を修めています。

※お身体の状態や経過には個人差があります。
※本記事は一般的な情報提供であり、診断にかわるものではありません。

何か月も続いている
という方へ

かふう西台整骨院では、押して痛い場所を確かめてから施術します。
当院でお受けできる状態かどうかも含めて、お答えします。

かふう西台整骨院|〒664-0875 兵庫県伊丹市野間北2-10-17|TEL 072-779-5345
完全予約制/駐車場1台あり/腕と足の鍼灸治療協会 会員院

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